重症心身障害児者は日常生活動作(ADL)に困難があり生活が全介助になることも多いです。
そのため余暇活動も制限されることが多いでしょう。
そんなときにスイッチなど少ない身体動作でパソコンやタブレットを操作できると活動の幅を広げてくれます。
パソコンやタブレット使っての活動の一つにインターネットの使用があるでしょう。
重症心身障害者がインターネットを楽しむにはどんな方法があるでしょうか?
【操作方法を考える】
重症心身障害者であれば文字通り身体に何らかの障害があることが考えられます。
その人の身体状況に合わせた機器操作方法が必要になります。
まずはパソコンやタブレットの標準設定で対応します。
パソコンもタブレットも標準で多少は障害者用設定ができます。
標準設定で難しい場合は外部機器の導入を検討します。
ジョイスティックコントローラーなどが一般的です。
補足記事:ジョイスティックコントローラーで障害者用マウス操作機器を作る
コントローラーの操作も難しい場合はスイッチによるスキャン操作になってきます。
補足記事:スキャンとは?
補足記事:スキャンの種類
【意思伝達装置】
スイッチでのパソコン操作なら意思伝達装置が扱いやすいです。
意思伝達装置の中にはインターネットを扱える物があるのでそれを選びましょう。
補足記事:意思伝達装置の種類
伝の心やオペレートナビなどがインターネットをできます。
【Hearty Ladder】
しかしながら意思伝達装置は補助がおりないと費用が高額です。
コストパフォーマンスを考えるなら無料のソフトであるHeartyLadder(ハーティーラダー)を使うとよいでしょう。
HeartyLadderはパソコンのソフトで、1スイッチでインターネットや文字入力ができます。
補足記事:HeartyLadderとは?
【タブレットならiPad】
タブレットならiPadとiPadタッチャーとスイッチを使うと比較的簡単に1スイッチでのスキャン操作ができます。
補足記事:iPadタッチャーとは?
iPadはアクセシビリティーの設定でスキャン操作ができます。
スイッチコントロールでググるとたくさんやり方がのっています。
【操作方法の選択が大事】
重症心身障害児者がインターネットを行う場合、どんな方法で機器を操作するかが重要です。
・キーボードとマウスを扱える
・ジョイスティックを扱える
・スイッチを押せる
上記のどれに該当するかです。
必ずしも操作部位は腕でなくてもかまいません。足でもいいですし、口に割りばしを加えてキーボードを押してもいいでしょう。
その人ができる動作を見つけ、柔軟に対応することは支援者の腕の見せ所です。
スイッチを押すことも難しい場合は、唇やこめかみでの入力など別の身体部位を検討しましょう。
視線入力やまばたきの入力も選択肢の一つでしょう。
その際はOAKcom(オークカム)がコスパが良いです。
補足記事:OAKcom(オークカム)とは?
また、スイッチを使う場合はパソコンやタブレットなどの機器とスイッチを繋げるための機器が必要です。
これらはスイッチインターフェースと呼ばれます。
スイッチインターフェースはいろいろありますが、有名なところでいくと
・できマウス(パソコン)
・できiPad(iPad)
・iPadタッチャー(タブレット)
があります。
ジョイスティックやコントローラーは、アマゾンや家電量販店でUSB端子の物を購入すればパソコンに使えます。
専用の福祉機器もありますが、機能の割に高額なので選択肢としては微妙です。
補足記事:ジョイスティックの福祉機器で10万円? それ、5千円で同じことできますよ。
タブレットをジョイスティックで操作したい場合は、できiPadと、オプションのレバーを購入して使用することになるでしょう。
【まとめ】
技術の進歩により、障害を持たれている方でもインターネットがやりやすくなっています。
それは操作技術的な面だけでなくコスト的にも言えます。
専用の福祉機器でなくても、普通のパソコンやタブレットに+αの設定をするだけで使うことができます。
インターネットをするならパソコンとタブレットどちらがいいか?ということに関しては状況によります。
携帯性を重視するならタブレットです。
細かな設定や応用を利かせたいならパソコンです。
「タブレットは気軽だけれどできることが限られる」というのは一般市場だけでなく障害者のICT支援現場でも共通です。
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