今日は視線入力の仕組みについてざっくりと。
1. 視線の動きで機器を操作する
重度身体障害者の方にとって、視線の動きで機器を操作できることは非常に魅力的で可能性を感じる分野でしょう。
そのような視線入力に必要な機械はTobii Eye Tracker 4Cをはじめずいぶんと価格が安くなり手が届くようになってきました。
補足記事:Tobii Eye Tracker 4C とは?~障害者の視線入力~
視線入力の背景となる技術はアイトラッキングと呼ばれるものです。
以下、アイトラッキングについて見ていきましょう。
2. 人の体の動きを検知する
2-1. アイトラッキング
視線による入力を行う場合、まずは機器側が人の視線を検知できないといけません。
視線入力で一般的によく用いられる技術は角膜反射です。
人の角膜を検知してそこからその人がパソコン画面のどの位置を見ているのかを計算処理します。
このように、人の視線を検知する技術をアイトラッキング(視線追跡)と言います。
トラッキングとは人の体の動きを機械が検知する技術です。
アイ(目)をトラッキングするからアイトラッキングなわけです。
2-2. いろんなトラッキング技術
トラッキング技術は他にもいろいろ種類があります。
例えば人の頭の動きを検知するヘッドトラッキング。
体の傾きや向いている方向を検知するポジショントラッキング。
ナビのGPSなんかは位置情報のトラッキングですね。
近年流行っているVR。
VRではその人が向いた方向に画面の風景が広がりますね。まるでその空間にいるみたいに。
VRの「まるでその場にいるような」臨場感と没入感はアイトラッキングやヘッドトラッキングなど様々なトラッキング技術を総合することで成せる業です。
3. アイトラッキングの性質を理解する
3-1. 様々な分野で使い道のあるアイトラッキング
このように、何を検知できるかでその機器のできることは決まってきます。
アイトラッキングは人の視線を追えるので、人が何を見るかというマーケティングの研究や見た方向に合わせて動きが変わるゲームなどで重宝します。
さらに、医療・福祉方面においては身体障害が重篤な場合に視線の動きだけでIT機器を操作できることはたいへん魅力です。
3-2. アイトラッキングの限界
しかしながら、先述の通りアイトラッキングは人の目を検知します。
頭の傾きや体の向きまではトラッキングできません。
これらにはヘッドトラッキングやポジショントラッキングなどが複合されなければいけません。
身体障害が重篤な場合、ベッドに横になってパソコンを操作したり車椅子のリクライニングを倒した状態で画面を見ることも多いです。
アイトラッキングだけではその人の体の動きまではわからないので、体が寝ているならパソコンも寝た状態にしないといけないという割とアナログな工夫が必要になってきます。
このへんは以下で詳しく。
補足記事:障害者に視線入力を導入するとき気をつけること Tobii Eye Tracker 4C
4. まとめ
そんな感じで、視線入力は何かと便利ですが、その背景となる仕組みをちょっとでも知っておくと支援に役立ちます。
よくあるのが、「寝たきりの方のためにアイトラッキングの機械を買ったけれど、パソコンを寝たきりの人の顔に近づけるための固定台がない」なんてうっかりも、アイトラッキングの技術の背景を知っていれば防ぐことができるでしょう。
5. その他の記事
今、障害者の視線入力ってどんな感じ?Tobii Eye Tracker 4C