特別支援教育における視線入力の始め方
近年のIT機器の発達に伴い注目されている視線入力。
特別支援学校や医療・福祉の現場において導入を考えている先生も多いのではないでしょうか。
お子さん方に視線入力装置を導入する場合、
- 身体面と知的面からみて、視線入力を使えるのか?
- 視線入力を行うためにどんな設定をするのか?
この2点を検証する必要があります。
以下、もう少し詳しく。
身体面と知的面の評価
そもそも、
視線入力を使えるのか?
使えるようにするにはどうしたらいいか?
ということが重要になってきます。
そのためにはお子さんの状況を把握する必要があります。
以下、見てきます。
視線入力に必要な身体能力
まず前提として、視線入力を行うためには最低限の視力および視覚機能が必要です。
物を見ることができるか、目で追うことができるか、一点を注目して見続けることができるか。
これらを確認します。
さらに、
斜視や眼振がある場合は利き目を確認しておきます。
視線入力は基本は両目で行いますが、難しい場合は片目でも可能です。
また、
首が座っていない場合はクッションなどによる頸部の固定を検討します。
頭がぐらついては正確に視線が検知できないからです。
視線入力に必要な知的能力
視線入力を行うためには、
自分の目の動きによって画面上が動いているという因果関係を理解できないといけません。
これは重度知的障害を呈した人にとってはなかなか難しいことだったりします。
場合によっては、
スイッチを押して画面上が動いたり音が鳴るという物理的な操作の方がわかりやすい場合もあります。
具体的な視線入力の導入方法
機種の選択
現状、視線入力においてそれなりの精度を持って現実的な価格で手に入る機器は「Tobii Eye Tracker 4C」になると思います。
上記機種はiPadなどには対応していません。そのため
「Windows10のパソコン」に「Tobii Eye Tracker 4C」を接続するという方法が視線入力導入の方法となります。
ソフトウェアの選択
パソコンにTobiiをつなぐだけでは視線入力はできません。
Tobiiは視線を検知するためだけの機器です。
検知した視線で何をするのか。
マウスカーソルを動かすのか。文字を入力するのか。ネットを見るのか。
したいことに合わせたソフトウェア(アプリ)を入れる必要があります。
例えばマウスカーソルを動かすだけならWindows10ならアクセシビリティーの標準設定からできます。
あるいは文字を打ってメールしたいなら、無料ソフトである「HeartyLadder」などをインストールすることになるでしょう。
まとめ
視線入力の導入は以上のような感じです。
そのほか詳しいことは以下の関連記事をご覧ください。
視線入力は介助者の設定の工夫と本人の練習が必要です。
視線を使って物を動かすというのは誰しもが馴染みのない操作です。
一朝一夕できるわけではないのでコツコツ練習する必要があります。
視線入力は一見すると華やかでハイテクな支援方法ですが、その根底にはコツコツと地味な操作練習があってはじめて実用に至ります。
この「地味な努力」が支援者にも当事者にも必要です。
その他の記事
TobiiとHeartyLadderで視線入力による意思伝達装置を作る
「Tobii」と「見るマウス」で視線入力によってパソコン操作
JoyToKeyとは? JoyToKeyのインストールや使い方など