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はじめに(発達のおける指さしの大切さ)
何気ない行動の指さしですが、子供の発達においては重要な指標の1つです。
指さしはその意図によって複数種類あり、
子供がどの指さしをできる・できないかはその子の発達段階を知るてがかりになります。
指さしの分類は諸説ありますが、
日本教育心理学会などの論文を参考に、
比較的メジャーでわかりやすい分類で種類を挙げていきたいと思います。
子供の発達における指さいの種類や違い
要求の指さし
「要求の指さし」とは、届かないところにあるお菓子を指さす、要求の意図がある指さしなどです。
「あれ取ってー」の意図で使う指さしですね。
要求の指さしは生後11か月ないし1歳頃に獲得されます。
要求の指さしは比較的初期に獲得される指さしの種類になります。
叙述の指さし
要求の指さしとほぼ同時期、あるいは月齢として1,2か月後に獲得されるのが叙述の指さしです。
叙述の指さしとは、指をさした物を他者と共感・共有しようという意図で行われる指さしです。
例えば親子で散歩をしていて、犬がいたとします。
このとき子供が好奇心旺盛に指をさす。
「ママ、ワンワンがいるよ~」という意図の指さしですね。
これに対し母親が「そうだね、ワンワンがいるね~」などと共感すると満足そうにする。
叙述の指さしは指をさす物とそれを共感してほしい相手、指をさす自分という三項関係の芽生えでもあります。
質問の指さし
以下の応答の指さしと同じ時期に獲得されていくのが質問の指さしです。
文字通り他者へ「これなあに?」といった意図で行われる指さしです。
叙述の指さしとやや似ていますが、こちらは明確に質問や確認の意図があります。
応答の指さし
そして参考関係が成立することで獲得されるのが応答の指さしです。
応答の指さしとは他者の質問に指さしで答えることです。
例えば親子で本を読んでいて、
「猫はどこにいるかなあ?」
と親が聞くと子供は絵本の中の猫を指さしてくれる。
これが応答の指さしです。
応答の指さしは1歳ないし1歳後半頃に獲得され、
応答の指さしの獲得をもって指さしの完成とされることが多いです。
おわりに
子供の発達には個人差がありますから、
月齢などはあくまで目安として捉えてもらえれば幸いです。
実生活ではその子自身のペースを大切にしてあげましょう。
指さしにもその機能によって種類があり、
どの指さしが得意・苦手かでお子さんの発達傾向の参考にもなります。
例えば自閉症スペクトラム(ASD)といったコミュニケーション面に苦手さがある発達障害のお子さんの場合、要求の指さしと比べると叙述の指さしが苦手な傾向があったりします。
このように、指さしという行動を機能別により細かく見ていくことは、お子さんへの働きかけのヒントになります。
補足記事
参考資料
『自閉症幼児における応答の指さしと言語獲得』(神戸大学学術成果リポジトリ)2020年7月2日検索
『1歳児における叙述の指さしと他者との共有経験理解との関連』(J-STAGE)2020年7月2日検索
『指さし行動の発達的意義』(J-STAGE)2020年7月2日検索