構音の解説

鼻咽腔構音とは?

公開日:2017年11月15日

鼻咽腔構音とは構音障害における異常構音のひとつです。
異常構音は「置換」や「歪み」といった正しい構音を阻害する要因につながります。

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鼻咽腔構音

 
人間には空気の通り道として口と鼻があります。
これらどちらから空気を出すかは、舌の奥が上がり口の天井(口蓋)に接することで変わります。

舌が上がり口蓋に接すると、口からの通り道が塞がるので空気が鼻から抜けます。
逆に舌が上がらず口蓋に接していなければ、口から抜けます。

鼻咽腔構音は、本来は鼻から抜けなくていいときに空気が鼻から抜けてしまうことで起こる異常構音です。
 
 
 

鼻咽腔構音の聴覚印象

 
舌が上がり口蓋に接して、鼻から空気が抜ける。
この機能を鼻咽腔閉鎖機能と言います。

鼻咽腔閉鎖機能は障害されていないのに、構音の際に不適切な時に空気が鼻から抜けてしまうのが鼻咽腔構音です。

鼻咽腔構音は一般に言う「鼻声」に近い印象を受けます。
具体的には「ん」や「くん」に近い音になります。
イ列やウ列の音に見られやすいです。
 
 
 

鼻声の補足

 
ちなみに世間一般で言う「鼻声」には2種類あります。

一つは鼻が詰まって鼻から空気が抜けない鼻声。
もう一つは鼻から空気が抜けてしまう鼻声。

鼻が詰まっている声を「閉鼻声(へいびせい)」
鼻から息が抜けるのを「開鼻声(かいびせい)」と言います。

鼻咽腔構音は開鼻声によって起こる構音です。
 
 
 

鼻咽腔構音の特徴

 
鼻咽腔構音は空気が鼻から抜けている構音です。

そのため、
鼻咽腔構音の人は鼻をつまむと音が作れません。
空気の通り道が塞がれるためです。

鼻をつまむと音を作れないのは、鼻咽腔構音の鑑別ポイントとなります。
 
 
 

鼻咽腔構音の改善

 
正しい構音のためには適切な口腔機能が大前提となります。
機能性構音障害の場合、口腔機能自体は問題がないのが大前提です。

機能性構音障害において鼻咽腔構音がある場合、正しい鼻咽腔閉鎖を獲得する必要があります。

先述したとおり、口腔機能自体は問題がないのが前提なわけですから、口蓋裂や舌の運動の異常など鼻咽腔閉鎖に支障をきたす障害がある場合はまずは手術などでそれを取り除きます。

その後、鼻咽腔閉鎖に着目しながら構音訓練を行います。
 
 
 
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【参考文献】
本間慎治『改訂 機能性構音障害』建帛社、2007年

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